海外からの反響
なみきたかし 様
才能溢れるすばらしい方々に会わせて頂いた、忘れがたい日のビデオを受け取りました。ありがとうございます。たくさんの記録を残してくれたカメラマンの方*(南家こうじさんでしょうか?)にもお礼を申し上げます。おかげで我々の思い出を貴重なかたちで残すことができましたし(こういうことが必要なもので)、子供達や友人に旅のハイライトを聞かせる際にもとても役に立ちます。非常にお忙しい中、あなたの貴重な時間を割いていただきまして、本当に感謝しております。
ジブリのスタジオで見せて頂いた「この星の上に」は大変興味深く、どんどん移り変わる沢山のシーンを堪能いたしました。ただ一言いわせて頂くのであれば、マシントレスが若干濃すぎ、コントラストが強すぎたような気がします。もうすこし柔らかい方がこの主題にはそぐわしかったのではないでしょうか。しかしいずれにせよ素晴らしい作品ですので、観客やスポンサーの支持も得られるといいですね。
あなたと会って素敵な時間を過ごせまして、本当に楽しかったです。あなたにも是非こちらに来ていただきたいので、カナダにお越しの際にはご一報下さい。私も良い場所に案内いたしますし、愉快な人たちにも紹介したいと思っております。
みなさまにも感謝の意をどうぞお伝え下さい。敬具
フレデリック・バック
*(編集部注=カメラマンは金子由郎)
なみきたかし 様
あなた方の最新フィルム「この星の上に」をありがたく頂戴いたしました。このような
ビデオテープをわざわざ送って頂き、本当に感謝しております。
「この星の上に」は家族で拝見させて頂きましたが、みんなとても喜んで好意的な意見を申しておりましたし、私などさらに何度か見直してしまいました。
テクニックがとても素晴らしい。同じような技術を駆使したフィルムに「木を植える男」がありますが、あなたがたのテーマが木が植えられたその後であることをふまえますと非常に興味深く思いました。絵(drawn animation)と特殊効果( spacial effects animation)の兼ねあわせもみごとでした。そして前方のアイテムがそのままでシーンが変わっていくことには本当に感心しました。アニメーションで場面が移行していくところの人物や自動車、とりわけクッションの中の赤ちゃんが椅子の上で立ち上がる少年へと変わっていく場面の、ロッキングチェアーをカメラクレーンを使ってぐるりと撮影したような3Dの動きが素晴らしかった。
私が最も好きなところは、水くみをする子どもの場面(犬の細かさも含めてです)と、このシークエンスの最後にある雪の中の人形です。
また音楽も非常に気に入りました。音が小さくなったり大きくなったりしながらストーリーを区切り、音だけとってみても話の展開は分かることでしょう。英語字幕も簡明で素晴らしかった。英語のクラシックな香りがしますし、物語をとても良く伝えていて、言葉の選び方も音楽同様にとても気に入りました。
世界中に共通するつながりとして木の精霊を取り上げたことも、ユニークで興味深いテーマでした。
私がこの手紙に書いたこと、すなわち私がこの映画をとても気に入り大いなる感銘を受けたことがあなた方にうまく伝わると嬉しいです。映画の配給に成功し、沢山のフェスティバルに出品できることをお祈り致します。
お返しになるような私の新作フィルムがなくて本当に申し訳ありません。私はちょうど新しいプロジェクトをスタートさせたところで、おそらく5分か6分の長さになる予定です。そのあとさらに短編を制作して、今やっている新作と「The Orchard」と合わせて30分の番組にできるといいと思っております。ニュージーランドのマーケットは短編には不利なので、テレビに売り込むためには何本か組み合わせた方がいいのです。子供向けのビデオを出す際も同じです。
日本の短編の配給はどうなのでしょうか。「この星の上に」のみでテレビ局に売り込むことが出来るのか、もしくは同じように他の作品と合わせて30分にしなくてはならないのか教えていただけるとありがたいです。(子供用ビデオを出す際も同じでしょうか?)
最後になみきsama、貴方のフィルムを見せて頂きまして本当にありがとうございました。さらなる映画プロデュースができますようお祈り申し上げます。
ボブ・ステンハウス
*(編集部注=ステンハウス氏は「果樹園」などで知られるニュージーランドのアニメ監督)